Friday, August 01, 2008

メルロ・ポンティ「哲学をたたえて」

なんとか(後半はかなりひどかったけれど:P)一週間をのりきり、夏休みに入った。二週間弱の休憩。ホッとひといきだ。
みんなも疲れていたし、Veraも疲れていて、彼女も一回こなかった。人間誰でもそんな時期がある。

少し落ち着いてきたので、読みかけてほったらかしにしていたメルロ・ポンティ「哲学をたたえて」(「眼と精神」所収)の最後5,6ページほどを読み終える。

途中引用されたアランの言葉「近くしか見えないわれわれ人間にとっては、真理は束の間のものである。それは或る状況と或る瞬間に属しているのである。滑稽にも前や後ではなく、まさにその瞬間に真理を見、言い、なさなくてはならない。何度もというわけにはいかない。何ものも何度もあることはないのだから」が見事だ。
果たしてこれがまさにポンティ的な現象学的視点の基礎であり、これによって世の中の見方はずっと広がるのであるけれども、そのことを「どうやって」伝えるのか、僕は言語としてもアートとしても格闘し続けている。

それから、最後のページ、最後の段落の始まりも美しい。---
哲学者は、おのれを世界や歴史に結びつけている真理の絆をよりよく体験するためであるにしても、まず<反省>によって世界や歴史から身を引き離すわけですが、その反省の果てに彼の見いだすものは、自己や絶対知の深淵ではなく、むしろ世界の新しいイメージと、その世界に他人とともに植え付けられている自己自身なのです。彼の弁証法ないし彼の両義性は、誰でもがよく知っているものの一つの表現方法にすぎません。
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