Thursday, June 25, 2009

一番高いワイン

Montemor-o-Novoでのレジデンシー、引き続き。
日曜日にInformal Showingをすることになり、みんな少しずつ顔つきが変わる。

僕個人としては来月のルーマニア、また夏以降の作品にむけての素材が色々集まったのでありがたく、それ以上あまり思うところはない。
件のレストランでの食事は「泣きそうになるほど」日々驚きと喜びに満ちていて、正直これでまったく満たされている :)
ちなみにここで出されるテーブルワインはテープルワインというものがどうあるべきかということを体現している極めて美しい味わいがする。
高いワインは豪勢な味がして疲れることがある。

プロジェクトのフルート奏者は以前何かの店を経営していたらしく、彼の唯一の日本人との経験を教えてくれた。観光客であろうその日本人は、彼の店で「一番高いワインを売れ」といい、彼が「一番高くはないがもっといいワインがある」といっても全く譲らず、彼の店に14本しかなかった「一番高いワイン」を数本を買っていったそうである。
資本主義が悪い意味で社会を汚染している日本社会の端的な例だ。同じ日本人として、極めて恥ずかしくなる。

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突然、七月始めのshowがキャンセルされるが、もう何も思わない。ポルトガルに慣れたか、あるいは自分が強くなったか。
ともあれ今はルーマニアの食事が極めて楽しみ :P

Friday, June 19, 2009

草原の真ん中で

Montemor-o-Novoでのレジデンシー。ドイツ人ピアニストの企画で、彼とスペイン人ミュージシャンなどとのコレクティヴ・ワーク。新作かつ自分に演出の決定権がないので何にしても時間がかかり、さすがに忙しい。定められた期間で最大限によいものをだせるか、それが仕事というもの…。

頭痛の種は一人の参加者がまったくのアマチュアで、まず始めは全く仕事にならなかった。現場にきてタバコだけすって帰るというのは、はっきりいって言語同断なので、二日目には夕食の後「あんたがアマチュアでもこれはプロの現場なんだから仕事してもらわな困る」とハッキリ言うが、「私はアマチュアであなたと同じ立場にはたてない。そもそもプロフェッショナルとは何なのか?」などとふざけたことをいいだすので、「そんなことを聞きたいなら今から学校にいって自分の先生に聞け。ここは現場だ。」とさすがに絶叫する。

大変なのは彼女が40代であるということだ。20代後半、プロとして一人立ちしようと僕自身がもがいている状況で、こういう人に向き合うのは正直簡単なことではない。人生は本当に苦難の連続…。

しかしながら、来月のルーマニアのレジデンシーにむけてはいい意味で予行演習になっているとも言える。いつだって100%の理想的な環境などなく、ただその瞬間瞬間にできる限りのことを積み重ねていくほかには、僕たちアーティストが人に求められる作品をつくりあげられることはない。

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しかしMontemor-o-Novoはいつだってその食事に pleasure of lifeを感じる。ここのあるレストランは、それだけでMontemor-o-Novoを訪ねる十分な理由になるほど、激烈になにもかもがおいしい。そしてむちゃくちゃ安い。
(名物店員のおじさんはいつも絶叫早口で今日のメニューを読み上げてくれる:) )

リスボンでアホみたいな値段を払って死んだような食事をし、さらには店員にブスッとにらまれるのと比べると、なんということか。

あるいは8月にレジデンシーをするある施設では、才能豊かなアーティストたちが、素朴に、しかし全くもって先鋭的な作品を黙々とつくっている。その姿勢には、ただアーティストになりたい、言い換えればアーティストという名前がほしいだけで学校へ通う都会の学生たちのいやらしさを忘れさせてくれる。
彼らと友人であることが、僕の喜びでありまた誇りでもある…。


Saturday, June 06, 2009

ヨーロッパ

七月に東欧の某国で仕事がほぼ決まったので、Wikipediaでその国の歴史を少し読む。
80年代に武力による革命があったという話や、その写真は色々なことを思わされるし、アーティストとして責任をもって仕事をしようとシャンとした気持ちにもされる。
ポルトガルも独裁政権が倒されたのは(ポルトガルはカーネーション革命といわれ、武力衝突はおこらなかった)70年代で、ヨーロッパにはこうした歴史の重みが社会のなかにまだ顕在である。

Friday, June 05, 2009

バタバタ

7月も大きい仕事が突然きまり、これでしばらく安泰。ホッとする。

ワークショップも人が少ないことをのぞけば、内容の方は立派。もっと多くのダンサーにこの話を伝えられたらなーとそれだけが残念。やっぱり継続は力というか、2001年からインプロに関しては場数をふんできたので、話すことはいっぱいある。

9月、10月は新作をふくめポルトで舞台にむけて色々と準備。まだ条件がどうなるか不明だけど、これこそが僕がポルトに残ってやりたいことだったから、本当にうれしい。2006年からヨーロッパで死にものぐるいにやってきて、とうとう自分の本領を発揮できる場になると思う。プロデューサーの駆け回りっぷりに頭があがらない。

七月のことでアホみたいに興奮したので、おいしいものを食べたいとCafe Progressoにいく。ほうれん草、ブロッコリー、グリーンピースのキッシュ。クリームもはいっていて、上にチーズをのせてやいている。死ぬほどうまい。もちろん付け合わせの、なんでもないごはんもおいしい。
忙しい時間で、十分も注文をとりにこなかったので、「飯をくいにきたんだ、待つためにきたんじゃないんだ」と従業員に始めおこったけど、おいしいものを食べると気持ちがおちつく。会計のときにその従業員にあやまられたので(これがポルト、リスボンではあやまらないどころか、最後まで横柄な態度をとられたりする)、「大丈夫、大丈夫、おいしかったおいしかった。僕はここがポルトで一番好きだから。」というようなことをしどろもどろと話す。
2007年からたびたびきているが、従業員はまるで変わらない。