Wednesday, April 23, 2008

内田樹の研究室: ダライ・ラマ畏るべし

内田樹の研究室: ダライ・ラマ畏るべし

私たちがその名と事績を熟知し、そのメッセージを繰り返し耳にする機会のある中国少数民族指導者はダライ・ラマ14世ひとりである。
ダライ・ラマ14世は、毛沢東、周恩来以来すべての中国指導者と五分で渡り合い、いまだに中国の「対抗者」のポジションにいる世界でただ一人の政治家である。
スターリンもフルシチョフもケネディもニクソンもネルーも蒋介石もスカルノもみんな死んだ。リー・クアン・ユーもマハティールも李登輝も現役を引退している。
その中にあって、ダライ・ラマ14世だけがただ一人現役の「中国のカウンターパート」として、つねに世界のメディアの注目を集めている。
繰り返すが、これはきわめて例外的なことである。
私たちはなんとなくダライ・ラマ14世というのを穏和で平和主義的な宗教家だと思っているけれど、この人は現存する政治家の中で「最長不倒距離」を誇るスーパーマンなのである。

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